【SS】ヴェールの向こうはイケメンだった

はじめから
【つづきから】

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魔王の精神攻撃!

「『桜舞う渋谷の夜』
「さぁ、行こうか渋谷へ」
愛しい人はそう囁くと、私の手を優しく引いた。
ショートヘアが似合う私とは対照的に、彼はロングヘアの美しい男性だ。
今宵、私たちはお互いに女装して夜の街へ繰り出すことにした。
私は白のワンピースに身を包み、ハイヒールを履いている。
胸元には、ゆれるパールのネックレスが溢れんばかりの胸元の谷間を強調していた。
一方の彼は、赤の膝丈ワンピースにニーハイブーツという艶やかな出で立ち。
その美しい脚線美に、通行人の視線は強く惹きつけられるに違いない。
2人は手をとり合い、桜の散る道を歩き始めた。
舞う花々が、儚げで艶やかな情景を創り出していた。
「綺麗だね」彼が私の耳元でよぎる。
そう、この桜の下にいる2人こそ、まさに舞妓さながらの美しい存在なのだ。
やがて人気の居酒屋に入り、カウンターで隣り合って座った。
純白と深紅のワンピースのコントラストが、店内の視線を一気に引きつけた。
お酒を酌み交わしながら、ふとした瞬間、2人の唇が重なり合う。
世間を忘れて火照った夜を紡いでいく--。」

勇者の沈黙の効果が消えた。
「やめろ……!書きかけの小説を朗読するのはやめてくれ……」

勇者は戦意を喪失した。

END2.BL朗読END